直木賞作家

佐藤究さん

佐藤究
森清氏撮影
アステカで畏怖された神にちなんだ『テスカトリポカ』という長編小説を2021年に刊行できたのは、言うまでもなく古代メキシコ文明のおかげです。執筆中はパンデミックの影響でメキシコの地を踏めませんでしたが、まさかテスカトリポカと、そして戦争の神ウィツィロポチトリの名を冠した黄金の飾りが、はるばる海を渡って日本に降臨する日が来ようとは……。高度な文明を築き、繁栄し、そして滅亡する。古代メキシコで起きたことは、戦争や疫病やAIに翻弄される現代文明にも起こり得ます。私たちはこの特別展のなかに、鏡に映った自分自身の姿を見い出すかもしれません。